『プリズム』
プリズム (ハヤカワ文庫JA) 神林 長平 by G-Tools |
幻想的な世界で展開される、言葉と色をモチーフにした短編連作形式の作品。1987年の星雲賞受賞作。
神林長平の作品というと、『雪風』のようなハードSFが最初に浮かぶ。ハードSF路線の方が、”機械”と”人間”、あるいは”時間”といったものが主要なテーマになることが多い。一方で、神林作品のもう一つの軸となるテーマがある。それは”言葉”だと思う。代表的な作品に第16回日本SF大賞を受賞した『言壺』や、『言葉使い師』が思い浮かぶ。この『プリズム』も後者の系列の作品。
SFと神話が両立する世界で、”創言”能力によって作り出された制御体によりすべての人間が管理される。しかし、制御体によっては認識されない者もいて、というのが物語の核となる。
言葉自体は、ハードSFの専門用語の方が難しいかもしれないが、多分こちらの方が難解に感じられるかもしれない。でも、ここわ素直に、神林長平の”創言”能力が作り出しためくるめく世界を味わえばいいと思う。
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