『風の海 迷宮の岸 上・下 十二国記』
風の海 迷宮の岸〈上〉 十二国記 講談社X文庫―ホワイトハート 小野 不由美 山田 章博 by G-Tools | |
風の海 迷宮の岸(下) 十二国記 講談社X文庫―ホワイトハート 小野 不由美 by G-Tools |
十二国記シリーズの第2弾、『魔性の子』を入れれば、三つ目のお話。前作『月の影 影の海』の主役だった陽子は登場せず、『魔性の子』の主役だった高里要=泰麒が主役なので、むしろ『魔性の子』の続編というか、謎解きとしても読めるようになっている。とはいってもすべての謎が解明される訳ではなく、むしろ十二国と泰麒に何がおきたのか、読む側からすると、この先何が起きるのか、創造を逞しくさせずにはおかない。
十二国の世界の成り立ち、物語の構成、登場人物たちの魅力、どれをとっても一級品なのは前作同様。それでいて、主人公のパーソナリティをがらりと変えることで、通底するテーマは不変でありながら、全く違う切り口、角度から物語ってみせ、飽きさせない。必読。