『機械たちの時間』

機械たちの時間 (ハヤカワ文庫 JA (532))機械たちの時間 (ハヤカワ文庫 JA (532))
神林 長平

我語りて世界あり (ハヤカワ文庫JA) 言壺 (中公文庫) あなたの魂に安らぎあれ (ハヤカワ文庫JA) 帝王の殻 (ハヤカワ文庫JA) 死して咲く花、実のある夢 (ハヤカワ文庫JA)

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SF。
 機械知性体、マグザットとの戦いの中、火星から過去の地球?へととばされた主人公が、首なしの戦友の死体を発見し……、というサスペンスが、ぶつ切りでスピード感のあるハードボイルドタッチで描かれる話。
 人間と機械、虚構と現実、神林作品ではもはや定番のモチーフとテーマだが、毎回それぞれ違ったアプローチがなされていて面白い。『機械たちの時間』では、人間のとらえ方とは違う、機械知性の”時間”認識というもののあり方が提起されている。とは言っても、最近のハードSFもののように、深く追求するというスタイルではなく、あくまでも変容する世界、不連続な現実といったものが、テンポよく展開する。
 正直いうと少し物足りない感じもしたが、新潟の長岡なんだけど、火星、長岡と聞くと連想するものがあったりで、ああ、神林作品なんだなとニヤリとする部分もあって、楽しめた。