『黄泉がえり』

黄泉がえり (新潮文庫)黄泉がえり (新潮文庫)
梶尾 真治

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SF。
 あらかじめ言っておくと、映画版の方を先に見てから読んだので、そういう感想になってます。あしからず。
 舞台はは熊本で、突然死んだ人たちが生き返り、家族のもとへと戻ってくるという怪現象が発生する中、”黄泉がえり”を迎えた様々な家族の形が語られる。(ん? ”今あいに行きます”とかそんなタイトルの本、映画、ドラマもそんな設定だったような気が……)まあ、”癒し系”?の話。SFテイストは薄い。それでも、ネタバレになるので書けないが、怪現象の原因とか、SF要素もある点が映画版との違い。
 で、原作読んでみて思ったのは、映画版の出来の良さ。まさに理想的な原作ものの映画化だったのだと実感した。むしろ、リリカルなカジシンSFテイストは、映画版の方が上と感じるぐらい。映画版は恋愛ものに特化して、原作に登場する数人の登場人物のエピソードをうまくまとめ、黄泉がえりのルールを厳密にしたりして、より分かりやすく描いている。まあ、恋愛と家族でだいぶ主題が変わってしまったが、ラストのどんでん返しとか、ストーリーとしての出来もよかった。多少詰め込みすぎの部分と自分のSF好きとしての疑問は、原作を読んで解消したので、非常にすっきりした。
 もちろん原作のよさもあるけど、SF好きでない人でも楽しめる映画の方をおすすめ。