『猫の地球儀 その2 幽の章』

猫の地球儀〈その2〉幽の章 (電撃文庫)猫の地球儀〈その2〉幽の章 (電撃文庫)
秋山 瑞人

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SF。猫。
 『イリヤの空、UFOの夏』の秋山瑞人ライトノベルの皮をかぶった本格猫SF。
 『イリヤ』との共通点も多い。物語の中で、主要な登場人物に共通の課題=テーマが突きつけられるのだが、その解答ってのがきれい事では許されず、追い求めればかならず誰かが傷つく。両作品ともそういう悲劇が描かれる。だから、ラストは幸せいっぱいのハッピーエンドにはならず、判断を読者に委ねる終わり方になっているのも共通する。何より読後感。切なく痛い。
 個人的には、セカイ系?なイリヤよりも、こちらの方が好き。多分、地球とステーションの語られ方を逆転させた世界観とか、しっかりしたSFの部分が好きってのと、猫好きってのでバイアスがかかりまくってるのだろうけど……。どちらもライトノベルにおさまらない名作。必読。