『すべてがFになる』

すべてがFになる―THE PERFECT INSIDER (講談社文庫)すべてがFになる―THE PERFECT INSIDER (講談社文庫)
森 博嗣

冷たい密室と博士たち (講談社文庫) 笑わない数学者―MATHEMATICAL GOODBYE (講談社文庫) 詩的私的ジャック (講談社文庫) 封印再度―WHO INSIDE (講談社文庫) 幻惑の死と使途―ILLUSION ACTS LIKE MAGIC (講談社文庫)

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ミステリー。
 第1回メフィスト賞受賞作。自分はミステリー業界のことはよく分からんので、なんとも言えないが、本格?新本格とかいうらしい。あとは、理系のミステリーとかなんとか。基本的に事前情報や、ネタバレは無しで読むことにしてるので。まあ、評判ぐらいは見るけど。で、この作品は、理系のトリックとか、絶対に分からないとかいわれてたので、興味が湧いて読んでみた。
 個人的な意見として、ミステリーの面白さってのは、一般的なその完成度よりも、読んだ個人と作品との距離感が一番重要な気がする。
 どういうことかというと、謎がすべて分からないと、腹が立つ。読み終わっても分からないぐらいだと最低。逆にすべて早い段階で分かってしまうと、つまらない。自分としては、読んでいて気づいたちょっと後ぐらいに、作者がネタばらしてくれると非常に気持ちがいい。それと、全体としては、メインの謎は予想ができて、細かいところの伏線はこっちが気がつかなくてもきっちり回収してくれるぐらいがベスト。
 で、『すべてがFになる』はちょうどベストなバランスだった。密室のトリックと、”すべてがFになる”のメッセージの謎はあっさり気がついた。いわれてるほど難しくないと思ったのは、いわゆる古典的ミステリーをほとんど読んでないのと、プログラムの知識が多少あったからかもしれないけど。でも、それだけで解決できない部分は、予想できなくて、「やった!」と「やられた……」が半々で、大満足。
 登場人物はどれも現実離れしていて、そのあたりが人物が描けてないとか、そういう批判になってるのだろうが、ライトノベル読みには、まったく問題にならない。そんなの当たり前だし。
 ライトノベルメインの人の方が適性が高そうな作品。