『ルカ 楽園の囚われ人たち』
 | ルカ―楽園の囚われ人たち (電撃文庫) 七飯 宏隆      by G-Tools |
第11回電撃小説大賞、大賞受賞作。弁明が崩壊した地球に、ただ独り残された少女、それと、共に生活する幽霊たちを、コンピューターの視点で書いた話。
SFの設定としてはありがちで直球。それを、幽霊、コンピューター視点ってのでライトノベルに味付けした感じ。文章は巧で、なかなか上手いとおもった。けれど、どうにも損するのは、この設定だと、同じような設定で、もっと深い本格ＳＦが結構あって、つい比較してしまうと、浅く感じる。あと、ライトノベル＝キャラ小説と捉えると、いまいち、キャラが目立たない。
第6回スニーカー大賞の金賞『楽園−戦略拠点32098』がちょうど同じような設定なんだが、個人的には、『楽園』の方が好き。登場人物が絞られていて、派手な見せ場とかがない落ち着いた雰囲気とかがいいと思う。
『楽園』はスニーカーの”金賞”、『ルカ』は電撃の”大賞”。ライトノベル系新人賞の”大賞”の印象は、その出す頻度に比例してる気がする。ファンタジア＞スニーカー＞電撃。こんな感じ……。
