『膚の下』

膚(はだえ)の下 神林 長平 by G-Tools

SF。
神林長平、『あなたの魂に安らぎあれ』『帝王の殻』に続く、火星三部作の完結編。舞台となる世界の時系列では、一番前だが、物語としては、『あなたの魂に安らぎあれ』を受けたものになっている。破壊し尽くされた地球の復興計画をめぐる、人間、機械人、アートルーパーと呼ばれる人造人間の話。
ＳＦを読んで来てよかった。こういう本に出会えるから、ＳＦはやめられない。心からそう思う。被造物と創造主の関係を通じて、生きることを問う。そんな作品は、テレビや書店のベストセラーランキングだけを見ていたら絶対に出会えないだろう。
できれば『あなたの魂に安らぎあれ』から読んだ方がいい。『帝王の殻』は、直接的にはつながりの少ない作品だが、一部の登場人物の過去が語られていたりするので、できれば読んでおきたい。３部作全部読むことをおすすめする。どれも、日本ＳＦの一つの到達点をしめす傑作だから。