『紫色のクオリア』
紫色のクオリア (電撃文庫) 綱島 志朗 |
凄い! ラノベで、ここまで主題に直結した形で量子宇宙論(多世界解釈、人間原理、etc)を扱っている本は初めて読んだ。それでいて、ちゃんとラノベらしい、前向きで当たり前でわかりやすい、ポジティブなメッセージと、魅力的なキャラ立てもあって、ほんとに凄い。加えて、SF読みには分かる小ネタがちょこちょこ出てくるので、それが分かるとなお楽しい。
ちょっと大げさかもしれないが、思わず小松左京「果てしなき流れの果」、光瀬龍「百億の昼と千億の夜」といったあまりにも偉大な先人たちの作品を思い起こしてしまった。
普段プロパーなSFを中心に読んでいる人にこそ、是非読んで欲しいし、逆にラノベメインの人には、この本からSFに興味を持ってもらえると嬉しいかなと。
『戦場のヴァルキュリア』(PS3)
戦場のヴァルキュリア PLAYSTATION 3 the Best |
面白かった。戦闘のバランスがよくて、なかなか緊張感もってプレイできた。一ステージだけ、ハマリ気味で攻略サイトに頼ったステージがあったけど、それ以外は、一度やって、敵の配置と動きを把握すれば、詰将棋っぽい感じで攻略できる。自分の作戦がはまって、高ランクでクリアできたときはなかなか気持ちいい。
TPS+SRPGみたいなシステムに慣れるまでは確かにしんどかったけど、慣れてしまうと、そんなにアクション性が高いわけでもなく(というかアクション性なんてほとんど無いと思う。FPSで酔う自分が言うのだから間違いない)、ちょうどいい歯ごたえだと思う。ただ、確かに最近のぬるいゲームバランスのゲームに慣れていると、「難し過ぎっ!」ってなって、途中で諦めそうではあるなあ。
けれど慣れればばそんなに鬼じゃないと思う。現に自分の場合、序盤BとかCランクばかりだったクリア評価が、中盤から終盤にかけてはAかSが普通に取れるようになってたし。
幾つか注文をつけると、キャラ(ユニット)毎の個性がイマイチ生きていない。ポテンシャル=特殊スキルで差別化をしてはいるのだが、その能力の差が、たいして戦闘に影響を与えていない。あと、狙撃兵いらない=なくてもクリア出来るのは勿体無い。狙撃兵必須のステージも用意して欲しかった。
システムはこんなところ。グラフィックは個性的でいい感じ。リアルタイム描画の時はちょっと線がジャギるというか、水彩画風のタッチなのでジャギが目立って見えるけど、ムービーの時の質感は、リアルだけど絵画的でもある、独特なテイストが実にいい。この路線でどんどん進化していって欲しい。
最後にシナリオ。こちらはアニメを先に視聴していたので、わりとアニメは原作に忠実に作っていたんだなあと思ったという程度。というかアニメの方は、原作であっさりとしか描かなかった登場人物たちの心理描写とかに突っ込んでいたんだと分かった。確かにあとから作ったアニメ版の方が、いろいろと整理されていて、シナリオとしていいと思う。ただ、ゲームではあそこまで突っ込んだ心理描写はうざい(感情移入しにくくなる)ので、これはこれでいいと思う。
いや〜、ホント久しぶりにゲームした。やっぱりゲームはいいね。
『涼宮ハルヒの溜息』『涼宮ハルヒの退屈』『涼宮ハルヒの消失』
涼宮ハルヒの消失 (角川スニーカー文庫) いとう のいぢ |
良かった。映画見る前に読んでおこうと思って、読んでみた。個人的には、憂鬱>消失>退屈>溜息、の順かな。時間ものが三度の飯より好きなので、消失はもちろん好きなんだが、”涼宮ハルヒ”の看板を外して考えると、もっと面白い、完成度の高い時間物はたくさんあるので、キャラありきの補正が入ってないと微妙。SFとしての評価はやっぱり憂鬱の方が上なんじゃないかと。
あと、今まで「長門は俺の嫁(特に消失の長門)」なる言説があまり理解で気なかったが、これはすごく理解できた。というか、長門は俺の嫁。もともとロボ子属性の自分は、当然長門派だったわけだが、消失長門によって、長門がより魅力的になった。もちろん、ロボ子属性なので、「人間化した長門がいい!」というのではなく、消失で描かれたようなバグ=エラー=感情を長門が持っている、というのがどストライクです。
なんかしょうもないカミングアウトになってしまった気がする。。。
国宝 虎渓山永保寺
実家に帰ったついでに、多治見にある国宝の虎渓山永保寺に行ってきた。
この二つが国宝。見事な唐様の建築。意外と小さいので、迫力っていうのはないけど、実に味がある。
でも建物単体よりも、庭園として見た時の素晴らしさは特筆もの。まるで水墨画の世界に入り込んだよう。正直地味なので、京都や鎌倉のように万人向け、とは言えないけど、見ておいて損はない。ただ、境内の樹木からすると、おそらく紅葉のシーズンがベスト(イチョウと椛で綺麗だろうなあ。。。)っぽいので、もう一度そのころ行こうかと。
帰りに土岐プレミアムアウトレットに立ち寄る。入っている店自体は、入間とかとあまり代わり映えしなかった。個人的にはGAPのアウトレットが入っていたのが良かった(シャツ×3を30%OFFで購入)。あと、半年ぐらいずっと探していたいい感じの財布があったので、こちらも購入(10,000円ぐらい)。
今回もかなりの強行軍、もうちょっとゆっくり時間をとって旅行したい今日この頃。温泉とかね。
『とある飛空士への恋歌3』
とある飛空士への恋歌3 (ガガガ文庫) 森沢 晴行 |
凄い! 最高!! 『とある飛空士』シリーズの第4弾、『恋歌』の3巻目。第1巻が美しいシーンと主要キャラの顔見せ、第2巻は幸せな日常、そして第3巻は、、、あまりにも壮絶な戦闘、そして死。空戦シーン読んでる最中に何回泣きそうになったか分からない(今、基本電車の中でしか本読まないので、必死にこらえた)。そしてラストには、『追憶』ファンなら誰もが驚く一言が。。。
第1巻を読んで膨らんだ期待、第2巻でそれがちょっと不安になって、そしてこの第3巻で、もう一度ぐっとギアを踏み込んでみせた作者の力量、本当に素晴らしい。あー、早く続きが読みたい。読んでいない方は是非! この次巻が待ち遠しいっていう感覚を堪能しないのは絶対に損ですよ!
『宇宙のランデブー』
宇宙のランデヴー (ハヤカワ文庫 SF (629)) 南山 宏 |
とにかくスペースコロニー?世界=ラーマの存在感が素晴らしい。読んでいると自分もその場にいて、隊員たちと一緒になって謎に挑んでいる気がしてきて、ワクワクする。まさにセンス・オブ・ワンダー。結局、ラーマ人の謎は不明のまま。ああ、知りたい。。。(続編があるみたいだけど、評判良くないんだよなあ。)
『アンドロメダ病原体』
アンドロメダ病原体 (ハヤカワ文庫 SF (208)) |
面白かった。『ジュラシック・パーク』で有名なマイケル・クライトンの出世作。宇宙からもたらされた謎の病原体による感染拡大、その謎に挑む科学者の戦い。ある意味、映画『アウトブレイク』とか、ゲームの『バイオハザード』なんかの原点とも呼べる作品。
流石にちょっと古い感じはしたが、病原体の謎に徐々に迫っていく展開は熱い。ただ、ラストと、病原体自体の根本的な謎(存在)については仮説止まりで、もっと突っ込んで欲しかったし、そういう意味でラストがややあっさりしすぎなのが残念。