『紫色のクオリア』
紫色のクオリア (電撃文庫) 綱島 志朗 |
凄い! ラノベで、ここまで主題に直結した形で量子宇宙論(多世界解釈、人間原理、etc)を扱っている本は初めて読んだ。それでいて、ちゃんとラノベらしい、前向きで当たり前でわかりやすい、ポジティブなメッセージと、魅力的なキャラ立てもあって、ほんとに凄い。加えて、SF読みには分かる小ネタがちょこちょこ出てくるので、それが分かるとなお楽しい。
ちょっと大げさかもしれないが、思わず小松左京「果てしなき流れの果」、光瀬龍「百億の昼と千億の夜」といったあまりにも偉大な先人たちの作品を思い起こしてしまった。
普段プロパーなSFを中心に読んでいる人にこそ、是非読んで欲しいし、逆にラノベメインの人には、この本からSFに興味を持ってもらえると嬉しいかなと。