『虐殺器官』
虐殺器官 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション) 伊藤 計劃 |
凄かった。つい先日残念ながら逝去された伊藤計劃さんのデビュー作。『SFが読みたい2008』の国内第1位。ずっと読みたいと思っていて、ようやく入手できたので読もうと思っていたら、ちょうどその次の日に亡くなられたというニュースを見て、シンクロニシティというか何かこう、運命的なものを感じた。
で、内容だが、まさに”オルタナ”。近未来の超管理社会が舞台なのだが、未来というよりもむしろ現在進行形の”今”のもう一つのレイヤーを視ているような怖さがある。あと、個人的には、人間の”利他的行動”と”虐殺”の種としての進化のなかでの位置づけについての考え方が、自分の考えてきたことと凄く近くて驚いた。言語とか、進化とかそういう辺りの薀蓄がウザイと思う人には向いてないかもしれないが、遺伝子、ミーム、社会生物学とかに惹かれる人は是非。
それにしても早すぎる。デビュー作でこれなら、今後がもっともっと楽しみな作家だったのに。