MAD削除について、ある権利者側の人間の感想…

ニコ動に対して、MADの削除を要請するってはなしは、実はもっと前から出てた話。動画協会経由で、アニメ業界として「MADはNO」を明確に表明するという内容の檄文?みたいのが4月ぐらいだったかには回ってきてた。
その後しばらく音沙汰が無かったので、どうなったのかなと思っていたら、この発表だったので、他の団体と歩調を合わせて交渉してたんだと、納得。
動画協会ってのはアニメ制作の会社が集まっている団体ってことになってるのだが、微妙に配信の会社とかも入っていて、ニコ動がi-modeの公式になったときに、動画協会として正式にDoCoMoに抗議したのだが、その旗振り役が、そういう会社だったりもしてた。
おっと、話がそれた。で、一応コンテンツホルダー側で働いていて、さらに、ニコ動なんかともろにぶつかる配信事業を担当している人間として、今回のMAD削除について思った事を書いておこうかと思う。
正直な所、「権利者により削除」が「権利者名○○によって削除」が一番イタイ。これじゃあ、MADの削除なんて出来ない。出来るとしたら、よっぽどファンの方向を向いていない会社だけ。悪意あるMADじゃない限りは、あえて削除して、善意のファンに嫌われるなんてのはまったく割にあわない。
むかし、関係者がニコ動の権利者向けの削除システムの説明をしているのを聞いたのだが、「権利者の名前は出ない」だから、安心して使って欲しい、というのをやたら強調していたのを思い出した。
でもね、だからといってMADをOKとはこれまた絶対に言えない。無論、営業的には、善意のMADは多くのプラスの効果があることは分かっている。ただ、アニメの権利ってのは、アニメの会社だけにあるわけじゃなくて、ある意味、アニメ会社はライセンサー(権利者)であると同時に、ライセンシー(権利の許諾を受けて使用する者)でもあるといえる。
例えば、Yahoo!動画とかGyaOとかで1話無料っていうのをよくやっているのだが、アニメ会社は無償で提供しているわけじゃなく、ちゃんと金銭としての対価をもらっているのよ。そうじゃないと、脚本家とか、声優とか、音楽とか、そういう原権利者にたいして映像使用の対価を支払えないから。まあ、自腹を切るならべつだけど。だからMADだろうがなんだろうが、映像が流れたら、その分に対しての権利者達への対価を支払わないといけないわけで、もし払わなければ、それはただ乗りと同じで、ニコ動がやってる事と同じになってしまう。まして、自分たちが全く権利を持っていない無関係の映像や音楽と組み合わされたりした日には、ねえ。だから、どうしたってMADはOK!とは言える筈がない。
だから、今回の「権利者名○○によって削除」ってので、かなり厳しい状態に追い込まれたかなと思っている。むしろMADは今まで以上に消せないのではとか、どうにかMADをOKしてもいい仕組みってのが出来ないかなあとか思ってる。

あ、ニコ動削除専門の会社とか作って、その会社に、アニメの制作委員会に出仕してもらって、「権利者」になってもらう。その上で、その削除専門会社が、削除して回れば、背制作委員会の各社はファンに嫌われずに削除が出来そう。。。